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2026.10.21

経理代行は税理士法違反?頼めること・頼めないことの線引き

「経理を人に頼みたいけど、税理士じゃない人に頼んでいいの?」

記帳代行や経理代行を調べると、「税理士法違反になる」という情報が出てきて不安になる方がいます。結論から言うと、記帳(会計ソフトへの入力)や書類の整理を代行すること自体は、一般的に税理士法違反にはなりません。ただし、税理士にしかできない業務があり、その境界を知っておくことが大切です。この記事では、法律の条文をもとに線引きを整理します(2026年10月時点)。

この記事で分かること:

  • 税理士でなくても頼めること(記帳・書類整理など)
  • 税理士にしか頼めないこと(申告・税務相談など)
  • 頼む側が気をつけること

経理代行は税理士法違反になるのか

「経理代行」「記帳代行」という言葉の範囲は広いため、「経理代行=税理士法違反」とは一概にいえません。

税理士法で制限されているのは、税理士の独占業務に該当する行為です。具体的には、税理士法第2条で定められた「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つ(税理士法(e-Gov法令検索))。そして第52条で、税理士でない者がこれらの業務を行うことが禁止されています。

一方、会計ソフトへのデータ入力、領収書の整理、請求書の作成といった事務作業は、一般的にはこの独占業務には該当しないと考えられています。つまり、税理士でない人や会社に頼んでも、それ自体は違反にならないのが通常です。

税理士でなくてもできること

税理士資格がなくても代行できる業務の例です。

  • 記帳(仕訳入力)。領収書や請求書の内容を会計ソフトに入力する作業。勘定科目の入力は、事業者があらかじめ決めたルール(「交通費は旅費交通費」など)に従って行う形であれば、税務判断とは区別されるのが一般的です。
  • 領収書・請求書の整理。日付順に並べる、科目ごとに分ける、ファイリングする。
  • 請求書・見積書の作成。金額や取引内容を入力して書類を作る作業。
  • 振込データの準備。支払い先と金額の一覧を作成する。
  • 経費精算の入力。社員や本人が使った経費をまとめて入力する。
  • 書類の保管・ファイリング。帳簿書類を整理して保管する。

ポイントは、これらが「事実をそのまま入力・整理する作業」であることです。税務上の判断(「この支出は経費になるか」「どの勘定科目が正しいか迷う」など)を含む場合は、税理士に確認する必要があります。

税理士にしか頼めないこと

税理士法第2条・第52条で定められた独占業務は、以下の3つです。

1. 税務代理。税務署への申告や届出を、本人に代わって行うこと。確定申告の代行がこれにあたります。

2. 税務書類の作成。確定申告書、修正申告書、各種届出書など、税務署に提出する書類を作ること。

3. 税務相談。「この経費は認められるか」「どの申告方法が有利か」など、税務に関する具体的な判断や助言を行うこと。

これらは税理士(または税理士法人)にしかできません。税理士でない人がこれらの業務を行うと、税理士法第52条違反になります(税理士法 第52条)。

「記帳代行を頼んだつもりが、いつの間にか申告書の作成まで頼んでいた」とならないよう、何を頼んでいるかを自分でも把握しておくことが大事です。

ほかの士業の独占業務にも注意

税理士以外にも、法律で特定の資格者にしかできない業務があります。事務を外注するとき、頭に入れておきたいものを挙げます。

行政書士の業務。官公署(役所など)に提出する許認可の申請書類の作成は、行政書士の業務です(行政書士法 第1条の2・第19条)。たとえば、建設業許可の申請書類を作ることは行政書士に依頼する必要があります。

社会保険労務士の業務。労働保険・社会保険の手続き書類の作成は、社会保険労務士の業務です(社会保険労務士法 第2条・第27条)。従業員の入退社に伴う届出書類などが該当します。

事務代行に頼めるのは、あくまで「作業」の部分です。専門的な判断が必要な書類の作成は、それぞれの資格を持った専門家に依頼してください。

頼む側が気をつけること

経理代行や記帳代行を外注するときに、頼む側が注意しておきたいことです。

「全部やります」には気をつける。記帳から申告まで「全部うちでやります」と言う業者がいた場合、税理士資格を持っているかどうか確認してください。税理士でない業者が申告書の作成や税務相談を行っていれば、それは法律違反です。頼む側にもリスクがあります。

契約書で業務の範囲を確認する。「記帳代行」と「申告代行」は別の業務です。契約する前に、何をやってくれて何をやらないのか、範囲を書面で確認しておく。あいまいなまま始めると、後からトラブルになりやすい。

税務の判断は自分でしない。記帳代行を頼むと「この支出はどの勘定科目に入れますか?」と聞かれることがあります。判断に迷ったら、税理士さんに相談してください。自己判断で間違えると、申告時に修正が必要になることがあります。

税理士と事務代行を組み合わせる方法

税理士にすべてを任せることもできますが、費用が気になる方も多い。そこで、日々の入力や整理は事務代行に頼み、申告や税務相談は税理士に頼む、という組み合わせ方があります。

たとえばこういう分担です。

  • 事務代行が担当:毎日・毎週の記帳(会計ソフトへの入力)、領収書の整理、請求書の作成、振込データの準備、書類のファイリング
  • 税理士が担当:月次の残高確認、決算、確定申告書の作成と提出、税務に関する相談

日々の入力が整理された状態で税理士に渡せるので、税理士側の作業も効率的になります。結果的に、税理士の顧問料を抑えられることもあります。経理は自分でやる?外注する?の記事でも、自分でやる場合と外注する場合の比較を書いています。

稲咲堂の線引き

稲咲堂で引き受けるのは、以下の範囲です。

  • 記帳(会計ソフトへの仕訳入力)
  • 領収書・請求書の整理とファイリング
  • 請求書・見積書の作成
  • 期限の管理(支払日、届出期限など)
  • 資料集め(必要な書類をまとめて整理する)
  • 税理士さんへの資料の受け渡し

確定申告書の作成・提出、税務に関する相談は行いません。申告は税理士さんにお願いしてください。税理士さんがまだ決まっていない場合は、探し方の相談には乗れます。

メニュー内容料金の目安
事務:スポット記帳入力、書類整理など1時間 2,000円〜
事務:月額月10時間から。継続して担当月30,000円〜

正式な金額は、無料相談のあとにお見積もりします。

まとめ

記帳(入力)や書類の整理を代行すること自体は、一般的に税理士法違反にはなりません。ただし、確定申告書の作成・税務相談・税務代理は税理士の独占業務であり、税理士でない者が行うことは法律で禁じられています。

事務代行を使うときは、「何を頼んでいるか」の範囲を明確にしておくことが大事です。日々の記帳と整理は事務代行に、申告と税務判断は税理士さんに。それぞれの得意を使い分ければ、費用も手間も抑えられます。

「自分の場合はどこまで頼めるのか分からない」という方は、気軽に相談してください。稲咲堂ができる範囲とできない範囲を、はっきりお伝えします。

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