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2026.10.21

建設業の請求書の書き方──人工・法定福利費・インボイスの記載まで

「請求書を書いてるけど、これで合ってるのか分からない」

建設業の請求書は、他の業種と比べて書く項目が多い。人工(にんく)での請求、法定福利費の内訳、インボイスの記載事項。それぞれにルールがあって、知らないまま出すとトラブルの原因になります。この記事では、建設業の請求書に必要な項目と書き方を、記入例つきで整理します。

この記事で分かること:

  • 建設業の請求書に書く基本の項目と、人工での書き方
  • 法定福利費を内訳に書く理由と計算の考え方
  • インボイス制度で追加された記載事項

建設業の請求書に書く項目

建設業の請求書には、一般的な請求書の項目に加えて、工事に関する情報が必要です。基本的な項目を整理します。

  • 請求書番号、発行日
  • 請求元の名称・住所・連絡先
  • 請求先の名称
  • 工事名(現場名)
  • 工事期間
  • 作業内容の明細(品目・数量・単価・金額)
  • 小計・消費税額・合計金額
  • 支払期限・振込先

元請けによっては、独自のフォーマットを指定されることもあります。その場合はフォーマットに従いつつ、必要な項目が漏れていないか確認してください。

人工(にんく)で請求するときの書き方

人工(にんく)とは、作業にかかった人数と日数を単位にした計算方法です。「1人が1日作業した分」を「1人工」と数えます。

たとえば、職人2人が3日間作業した場合は「2人 × 3日 = 6人工」。1人工あたりの単価を決めておいて、人工数をかけて金額を出します。

記入例(人工での請求)

※金額は架空の例です

作業内容人工数単価(円)金額(円)
内装仕上げ工事6人工20,000120,000
資材運搬2人工18,00036,000
小計156,000
消費税(10%)15,600
合計171,600

人工で請求するときは、何の作業に何人工かかったかを明細に書くのがポイントです。「工事一式」だけだと、元請け側で内容が確認しにくい。作業ごとに分けて書くほうが、後のやり取りがスムーズになります。

なお、人工の単価は元請けとの契約で決まります。契約書や注文書に記載された単価と合っているか、請求前に確認してください。

法定福利費を内訳に書く理由と書き方

法定福利費とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など、法律で加入が義務づけられている社会保険の事業主負担分のことです。

国土交通省は、建設業の見積書・請求書に法定福利費を内訳として明示するよう求めています(「法定福利費を内訳明示した見積書の作成手順」)。2026年10月時点では、改正建設業法により、労務費・法定福利費等の内訳明示が努力義務とされています(令和8年3月 見積書書き方ガイド)。

基本的な計算の考え方:

法定福利費 = 労務費 × 法定保険料率(事業主負担分)

内訳に明示する保険料は、原則として以下の3つの事業主負担分です。

  • 健康保険料(介護保険料を含む)
  • 厚生年金保険料(児童手当拠出金を含む)
  • 雇用保険料

料率は年度や地域によって変わるため、最新の情報を確認してください。具体的な計算方法は、国土交通省の作成手順に詳しく書かれています。

インボイス制度で必要な記載事項

2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、請求書に追加の記載事項が必要になっています(2026年10月時点)。

適格請求書(インボイス)に必要な記載事項は以下の6つです(国税庁「インボイス制度について」)。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引の内容(軽減税率の対象がある場合はその旨)
  4. 税率ごとに区分した対価の合計額
  5. 税率ごとの消費税額
  6. 請求先の氏名または名称

建設業で特に注意が必要なのは、登録番号の記載です。「T+13桁の数字」の形式で、請求書に必ず書いてください。登録番号がないと、取引先が仕入税額控除(消費税の計算で差し引くこと)を受けられなくなります。

詳しくは国税庁の適格請求書Q&Aを確認してください。

よくある間違い

建設業の請求書でよく見かける間違いを挙げます。

工事名が曖昧。「内装工事」だけだと、どの現場の分か分からなくなる。現場名や住所を添えて、どの工事の請求か特定できるようにする。

人工の単価が契約と合っていない。口頭で決めた単価と、契約書の単価がずれていることがある。請求前に必ず注文書・契約書を確認する。

法定福利費を「一式」で書いている。内訳明示が求められているのに、「法定福利費 一式」としか書いていないケース。保険の種類ごとに分けて書くのが原則です。

インボイスの登録番号を忘れている。登録番号がないと、適格請求書として認められません。テンプレートに最初から入れておくと漏れを防げます。

消費税の計算が合っていない。端数処理のルールを統一しておかないと、元請けの計算と合わなくなることがあります。

毎月の請求書作りを楽にする方法

現場が複数あると、毎月の請求書づくりだけでかなりの時間を取られます。楽にするための工夫をいくつか。

テンプレートを整備する。会社名、登録番号、振込先、法定福利費の計算式。毎回同じ部分をテンプレートに入れておくだけで、入力の手間は大幅に減ります。建設業の事務が大変な理由の記事でも書きましたが、繰り返し使う書類こそテンプレート化の効果が大きい。

日報・出面表と連動させる。人工で請求する場合、日々の作業記録がそのまま請求の根拠になります。日報や出面表(でづらひょう:誰がいつ何の作業をしたかの記録)を毎日つけておけば、月末にまとめるだけで請求書が書ける。

作業を分けられる部分は分ける。請求書の内容を考えるのは現場を知っている人でないと難しい。でも、テンプレートに数字を入力する、PDFにして送る、控えを保存するといった「作業」の部分は、誰でもできます。事務の外注も選択肢のひとつです。

稲咲堂に頼むとしたら

稲咲堂では、請求書の作成やテンプレートの整備をお手伝いしています。

現場の内容を教えていただければ、それをもとに請求書を作成します。テンプレートの作成、毎月の請求書の入力・発行、控えの整理なども対応できます。

メニュー内容料金の目安
事務:スポット請求書作成、テンプレート整備など1時間 2,000円〜
事務:月額月10時間から。毎月の請求書作成を継続月30,000円〜

正式な金額は、無料相談のあとにお見積もりします。

なお、税務に関する判断(経費の計上方法、消費税の申告など)は税理士さんの業務になります。稲咲堂が担当するのは、請求書の作成・入力・整理・テンプレートづくりなど、事務作業の部分です。税務のことで迷ったら、税理士さんに相談してください。

まとめ

建設業の請求書は、人工の記載、法定福利費の内訳、インボイスの登録番号など、他の業種にはない項目があります。一度テンプレートを整えてしまえば毎月の手間は減りますが、最初のひな形づくりが面倒で後回しになりがちです。

「現場は回っているけど、事務が追いつかない」。そういうときは、気軽に相談してください。請求書まわりの整理を手伝います。

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