2026.10.16
個人事業主の開業準備、何をすればいい?──やることを整理してみた
「開業届は出した。でも、そこから先に何をすればいいのか分からない」
事業の立ち上げを手伝う仕事をしていると、こういう声をよく聞きます。やりたいことはある。届出も済ませた。でも、サービスの料金はどう決めるのか、名刺はどうするのか、ホームページは要るのか。考えることが多すぎて、どこから手をつければいいか分からなくなっている。
今回は、個人事業主として開業するときにやることを、自分なりに整理してみます。全員に当てはまるものではないですが、「こういう順番で考えると進めやすい」という参考にはなると思います。
まず決めること:「誰に、何を、いくらで」
開業届を出した後、いちばん大事なのはこの3つを決めることです。誰に向けたサービスなのか。具体的に何を提供するのか。いくらで受けるのか。
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、意外とここが曖昧なまま走り出す人が多い。「なんでもやります」「料金は応相談」だと、お客さんの側からすると頼みにくい。何を頼んでいいか分からないし、いくらかかるかも分からないから。
完璧に決める必要はありません。でも、「とりあえずこれで行ってみよう」という仮の形を持っておくと、次のステップが格段に進めやすくなります。名刺に何を書くか、ホームページに何を載せるか、すべてここが決まっていないと手が止まる。
料金設計は、思っているより難しい
開業準備のなかで、いちばん悩む人が多いのが料金の決め方です。
安くしすぎると続かないし、高くしすぎるとお客さんが来ない。競合を調べても、自分の場合にそのまま当てはまるとは限らない。「いくらにすればいいんだろう」と堂々巡りになりがちです。
自分がお手伝いするときは、まず「月にどのくらいの売上が必要か」から逆算して考えることが多いです。生活費と経費を足して、月に何人のお客さんに来てもらえれば成り立つのか。そこから一人あたりの単価を割り出す。理想の金額ではなく、事業として回る金額から決めていく。
あと、最初に決めた料金をずっと変えてはいけないということはありません。やってみて調整すればいい。最初の料金はあくまで「仮説」くらいに思っておいたほうが気が楽です。
見た目のもの:名刺、チラシ、ホームページ
サービスの中身と料金がざっくり決まったら、次は「見えるもの」をつくる段階です。
名刺。人と会う仕事なら、まず名刺がないと始まらない。屋号、名前、連絡先、何をやっている人なのか。最低限の情報が入っていれば十分です。凝ったデザインにこだわるより、まず持っていることのほうが大事。
チラシやショップカード。店舗型のビジネスや、地域で配る必要がある場合はあったほうがいい。逆に、オンラインが中心ならなくてもいい。必要かどうかは事業の形態によります。
ホームページ。「開業したばかりで、本当にホームページは要るのか」と迷う方もいます。必須ではないけれど、あると便利な場面は多い。名刺を渡した相手が後から調べるとき、SNSで興味を持った人が詳細を見たいとき。ホームページは24時間働いてくれる営業担当みたいなものです。
ただし、最初から完璧なサイトをつくる必要はありません。サービスの内容、料金、連絡先。この3つが伝われば、最初は5ページもあれば十分。ホームページの費用について書いた記事も参考にしてみてください。
届出・手続きまわり
開業届を出した後も、いくつか手続きが残っていることがあります。
事業用の銀行口座をつくる。これは個人口座と分けておいたほうが、あとで経理が楽になります。屋号付きの口座をつくれる銀行もあるので、調べてみてください。
会計の方法を決める。確定申告は青色にするのか白色にするのか。青色のほうが控除が大きいですが、帳簿のつけ方にルールがある。最初のうちは会計ソフトを使えば、そこまで難しくはありません。
保険や年金の切り替え。会社を辞めて独立した場合は、国民健康保険と国民年金への手続きが必要になります。退職後14日以内が目安なので、早めに。
このあたりは業種や状況によって変わるので、分からなければ最寄りの税務署や商工会に聞くのがいちばん確実です。
全部ひとりでやらなくてもいい
開業準備でいちばん大変なのは、「すべてを自分で決めなければいけない」というプレッシャーだと思います。会社にいたときは上司や同僚がいた。でも独立したら、全部自分。料金の決め方も、名刺のデザインも、ホームページの構成も、正解を教えてくれる人がいない。
だから、開業のタイミングで誰かに相談できるだけでも、かなり気持ちが楽になります。
稲咲堂の事業の立ち上げは、まさにそういう支援です。コンセプトの整理、料金設計、名刺やチラシ、ホームページまで、一人の担当が一貫してやります。実際に、ものづくり体験施設を立ち上げた仕事では、企画の段階から開業までを一緒に進めました。
「やりたいことはあるけど、何から手をつけるか分からない」。その段階で構いません。気軽に声をかけてください。一緒に整理するところから始めましょう。