2026.10.14
業務整理は何から始める?──「見えないまま回っている仕事」を書き出すところから
「業務を整理したほうがいいんだろうな」と、なんとなく思っている。でも、何から手をつければいいのか分からない。
そう感じている方は、けっこう多いのではないかと思います。
ネットで調べると、業務フロー図をつくりましょう、フレームワークを使いましょう、ツールを導入しましょう、と出てくる。どれも間違ってはいないのだろうけれど、少人数で回している会社にとっては、ちょっと大げさに感じることもあります。うちはそんな規模じゃないし……と。
でも、なんとかしたい気持ちはある。そういう方に向けて、もっとシンプルなところから始められる方法を書いてみます。
最初の一歩は、「自分が何をしているか」を書き出してみること
業務整理というと難しそうに聞こえますが、最初の一歩はとてもシンプルです。「自分が毎日何をしているか」を書き出してみること。それだけです。
たとえば一週間、やったことをメモしてみる。紙でもスマホのメモでも構いません。メールの返信、請求書の作成、在庫の確認、電話の対応、書類の整理。どんな小さなことでも、思い出せる範囲で書いてみる。
「こんな細かいことまで書くの?」と思われるかもしれません。でも、その「細かいこと」の積み重ねで一日が終わっていることって、実はよくあります。
自分もお客さんと一緒にこの作業をすることがあるのですが、書き出してみると「こんなにやっていたんですね」と驚かれる方がとても多いです。自分の仕事って、自分が思っている以上に多い。そして、その大半は頭のなかだけにあって、外からは見えない。
見えないものは整理のしようがない。だからまず、見える形にしてみる。それが最初の一歩です。
書き出したものを、ざっくり三つに分けてみる
一週間分のメモがたまったら、それをざっくり三つに分けてみます。
まずは、「自分にしかできない仕事」。お客さんとの打ち合わせや、商品・サービスの方向性を決めること。事業の核になる部分です。
次に、「誰がやっても同じ結果になる仕事」。データの入力、定型の書類作成、毎月同じ手順で繰り返している作業。やり方さえ決まっていれば、自分でなくても同じように仕上がるもの。
そして、「よく考えたら、やらなくてもよかった仕事」。昔の名残でなんとなく続けていたり、誰も見ていない報告書をつくっていたり、同じデータを二箇所で管理していたり。これが意外と多いんです。
きれいに分けられなくても気にしないでください。「たぶんこっちかな」くらいで十分です。自分の時間が何に使われているかを、少し引いた目で見てみる。それが目的なので。
「やめる」と「まとめる」だけでも、けっこう変わる
三つに分けてみると、気づくことがあります。
「自分にしかできない仕事」って、思っていたより少ないな、と。そして「誰がやっても同じ仕事」や「やらなくてもよかった仕事」が、思っていたより多いな、と。
ここで、いきなり人を雇ったりツールを入れたりする必要はありません。まずできることが二つあります。
ひとつは、やらなくていい仕事をやめてみること。誰も見ていない資料を毎週つくっていた、二箇所に同じ数字を入力していた。そういうものを思い切ってやめてみるだけで、毎週何時間か浮くことがあります。
もうひとつは、バラバラの作業をひとつにまとめてみること。同じような情報を三つのファイルに書いているならひとつにする。毎回ゼロから書いているメールがあるなら、ひな形をつくっておく。それだけでも、日々の手間がだいぶ減ります。
以前、「自分でやったほうが早い」が続くときという記事で、ある事業者の方の話を書きました。月に丸一日かかっていた書類作業が、やり方を見直しただけで半日になったケースです。人を増やしたわけでも、高いシステムを入れたわけでもない。「やめる」と「まとめる」だけで、それくらい変わることがあります。
マニュアルや仕組みづくりは、もう少し後でも大丈夫
業務整理というと、マニュアルをつくる、手順書を整備する、という話になりがちです。もちろんそれも大切なことですが、いきなりそこから始めようとすると、たいてい途中で手が止まってしまいます。
「マニュアルをつくる時間がない」。そう感じて後回しになって、また頭のなかだけで回す日々が続く。そういうパターンは、本当によくあります。
だから、順番を変えてみるのもひとつの方法です。
まず書き出す。分けてみる。やめられるものをやめる。まとめられるものをまとめる。この段階で、すでにかなり楽になっていることが多いです。マニュアルや手順書は、少し余裕ができてからでも遅くありません。
業務整理は一度で完成させるものではないと思っています。事業が変わればやり方も変わる。最初から完璧を目指すより、「いま、いちばん時間を取られている作業」をひとつだけ整理してみる。そのくらいの気軽さでいいと思います。
ひとりで整理しづらいときは
ここまで書いておいてなんですが、業務整理って、自分ひとりだと難しいこともあるなと感じています。
「自分のやり方」は自分にとって当たり前になっているので、なかなか疑問を持ちにくい。「これはこういうものだ」と思っている作業のなかに、実は省ける部分が隠れている。でも、毎日やっていると気づけないものです。
そういうとき、外の目が入ると変わることがあります。「あれ、これって必要ですか?」「ここ、一回でまとめられそうですね」。そんなちょっとした問いかけで、景色がガラッと変わることがあるんです。
稲咲堂の業務整理も、そこから始まります。話を聞かせてもらって、一緒に書き出して、「ここ、もっと楽にできそうですね」というところを探していく。大がかりなことはしません。
実際に、約13,000点の商品情報を整理したケースでも、在庫管理の仕組みをつくったケースでも、最初の一歩は「いま何をしているか」を一緒に書き出すところからでした。
「業務を整理したい。でも何から始めればいいか分からない」。そのままで大丈夫です。気軽に声をかけていただければ、一緒に書き出すところから始めましょう。